【国際結婚された方へ】日本人の配偶者(妻・夫)が帰化申請する場合の書類の注意点

記事更新日:

日本で国際結婚をし、子どもが日本国籍の場合は家族の中で自分だけが外国籍、ということもあるかと思います。その場合、日本国籍の取得の要件は緩和される一方で多くの書類を集めなければなりません。本編では、日本人の配偶者の方の帰化申請の書類の収集が大変な理由と注意点について説明します。

家族で配偶者(妻・夫)だけ“外国人”というのはどういう場合か

日本は「血統主義」のため、日本人の子どもは「日本国民」となります。これは、子どもの出生時点に父母の一方が「日本人」であれば、両方が日本人である必要はありません。
日本人と国際結婚をした場合、子どもを外国で出産した場合には「国籍留保」の届け出をすることで、将来子どもが自分の意志で国籍を選択することができます。

一方、日本は二重国籍を禁止しているため、外国籍を選択したらその時から日本国籍を失うことになります。

以上から、日本人と国際結婚をした場合で特に日本に生活の基盤を置いているような状況では、子どもも日本国籍であることが多くあります。またこのような状況では、今後も長く日本で生活することが見込まれるため帰化申請をしたいと考えられる方も多いのではないでしょうか。

日本人の配偶者の要件について

では、日本人の配偶者の方の帰化申請に係る要件がどうなるかを確認してみましょう。
国籍法第7条では、日本人の配偶者の方で帰化できる方について以下のように書かれています。

日本人の配偶者の方の要件
  • 日本国民の配偶者(妻・夫)であって、引き続き3年以上日本に住所または居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの
  • 日本国民の配偶者(妻・夫)であって、婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有するもの

上記のように、日本人の配偶者の方は「普通帰化」の要件から一部の要件が緩和されます。特に、「日本に5年以上在留している」という部分で大きく要件が緩和されます。この要件を満たす方が帰化するために審査されるポイントは以下になります。

審査ポイント
  1. 素行が善良であること
  2. お金の面で生活に心配がない
  3. 日本国籍の取得によって、母国の国籍を離脱できる
  4. テロリストや反社会的勢力ではない
  5. 日本語能力に問題がない

①について見られる内容としては「在留状況」「税金や年金の支払い」「交通事故や犯罪の有無」になります。当然、配偶者ビザの方は「偽装結婚」では適切な在留状況とは言えません。また、税金や年金については、扶養に入っている場合は配偶者の方が支払っているかと思いますが、そうでない方はご自身で支払っている必要があります。
交通事故に関しては軽微なものが数回であれば問題ありません。犯罪は起訴された場合はしばらく帰化申請ができない場合もあります。

②については、ご自身や配偶者の方の収入や財産で安定した生活ができていることが必要です。専業主婦(夫)の方は、配偶者の方の収入でも問題ありません。また得た収入で、きちんと納税していることが求められます。これは①にも関係することですが、帰化申請で特に確認される税金は「住民税」「所得税」(会社を運営されている方はさらに「法人税」「消費税」「事業税」)です。

③については、日本において二重国籍は認められていないため、母国の国籍を離脱できることが条件となります。⑤の日本語能力については、日常生活に必要なレベル(小学校3年生程度)の日本語が話せれば問題ありません。

家族に関する書類はどこまで必要!?

帰化申請では多くの書類を集めなければなりません。日本人の配偶者の場合は、帰化の要件は緩和されますが書類については減るという訳ではありません。

そもそもどうして家族の書類が必要なのか?

帰化申請の場合、まず「あなたが誰なのか(ご両親は誰で、何番目の子どもで、現在どのような人と婚姻関係があるのか、またその配偶者はどこの誰なのか)」といったことを明確にしなければなりません。そのために必要になるのが、ご両親の結婚証明書、ご自身を含めたご兄弟の出生証明書、日本人の配偶者がいる場合は配偶者の戸籍謄本、ご自身たちの結婚証明書になります。
さらに、婚姻関係にあるということは「生計を一つにしている」ということになるため、世帯で収入が安定しているか、また、世帯で税金の未納はないか、ということを証明する必要があります。そのため配偶者の方の収入や納税に関する資料を提出しなければなりません。

このような事情から、母国の家族の書類、そして、配偶者や子どもに関する書類の提出が求められることになります。

必要書類について

帰化許可申請で必要な書類似ついては、日本で集める書類と、母国で集める書類があります。

日本で集める書類について

日本で集める書類は、資産や収入を証明する書類が中心となってきます。また、日本で取得する身分関係の書類も一部あります。配偶者の方がいる場合は配偶者の方の書類も必要になります。

書類の名前取得場所
パスポートのコピー(出入国履歴があるページ全て)
在留カードのコピー(表・裏)
住民票の写し(世帯全員分)お住まいの市区町村の役所
在勤・給与証明書 / 在学証明書勤務先 / 学校
源泉徴収票(収入がある人)勤務先
源泉徴収簿の写し(収入がある人)勤務先
源泉徴収税の納付書及び領収書の写し(収入がある人)勤務先
確定申告書の写し(対象者)(収入がある人)(税務署)
最新年度の住民税の納税証明書(1年分)(収入がある人)お住まいの市区町村の役所
最新年度の住民税の課税証明書(1年分)(収入がある人)お住まいの市区町村の役所
厚生年金保険料納入告知額・領収済額通知書(収入がある人)
又は社会保険料納入確認書(1年分) / 国民年金記録の写し
年金事務所
運転記録証明書(過去5年分)自動車安全運転センター
自動車運転免許証の写し(表・裏)
卒業証書の写し・卒業証明書学校
土地・家屋登記事項証明書、賃貸借契約書の写し
預貯金通帳の写し
・日本の戸籍謄本 ※1
・戸籍届出書記載事項証明書 ※2
(※家族に日本人がいる場合、状態によって必要な書類が変わってきます)
本籍地の市町村役場

※1 父母や子供、兄弟、配偶者(婚約者)等の家族に日本人がいる場合は、その人の戸籍謄本が必要です。よう父母や内縁・前配偶者、元日本人の方も含みます。
※2 出生届、死亡届、婚姻届、離婚届、その他(養子縁組、認知届、親権を証明する書面・裁判書)で該当するものがあれば準備をします。

母国で集める書類について

母国で取得する書類は、国籍や身分を証明する書類です。国によって取得する書類が変わってきます。下記の書類は、全て日本語訳が必要です。翻訳は誰がしても大丈夫ですが、翻訳者の住所・氏名及び翻訳年月日の記載は必要です。下記に加えて、母国の国籍を離脱できるかどうかを確認しておきましょう。

書類の種類取得場所
国籍証明書本国
・本国の戸籍謄本(父母及び配偶者の父母の記載があるものが必要)
・出生証明書(本人・兄弟・父母) ※国によって異なります
本国
結婚・婚姻証明書(本人・父母)本国

自分で作成する書類について

さらに、ご自身で作成しなければならない書類も多いのが帰化申請の特徴です。自分で作成する書類は以下になります。

作成する書類の種類
  • 帰化許可申請書
  • 親族の概要
  • 履歴書(その1)(その2)
  • 帰化の動機書
  • 生計の概要(その1)(その2)
  • 事業の概要(会社を経営されている人)
  • 居宅付近の略図等(3年分)
  • 勤務先付近の略図等(3年分)
  • 申述書(主に両親が作成)

以上のように、帰化申請は多くの書類の作成を必要とする上に、家族がいる場合は家族の書類も集める必要があり、なかなか大変かと思いますが、一つずつ丁寧に対応していってください。

まとめ

以上、日本人の配偶者の方の帰化の要件と、集める書類について説明致しました。
日本人の配偶者の場合は帰化の要件は一部緩和されますが、収集する書類の量は多くなります。それは、家族の分まで集める必要があるからです。また、その他の状況によっても集める書類が変わってくることになります。帰化するためには長い期間(1年以上)を必要とするため、計画的に申請するようにしましょう。

【行政書士からのアドバイス】
帰化許可申請は法務局に提出する書類も多く、また審査に時間もかかるため不安も多いですよね。帰化で1日でも早く許可をもらうためのポイントは「準備」にあります。
当事務所ではスムーズな申請ができるように、皆さまのお手伝いをしております。お気軽にご相談下さい。

日本国籍の取得・帰化申請に関するお問い合わせ
  • 土日祝日・平日夜20時まで相談OK
  • まずは、じっくりお話をお伺いさせていただきます。初回は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
  • ご相談はご来所もしくはZoom等を利用したビデオ会議システムで行います。
お電話でのお問い合わせ

「帰化申請のホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:10:00-18:00
メールでのお問い合わせ




    相談のご予約メール相談



    ※予約可能時間 平日 10:00〜20:00 / 土日祝日 午前中


    ご来所(事務所)Zoom等のビデオ面談メールに返信(以下にご相談内容を具体的にお書きください)


    ページトップへ戻る