
帰化を検討されている方の中には、かなり迷われている方もいると思います。本編では、その悩みを少しでも解決できるよう、メリットとデメリットの両方の側面から解説していきたいと思います。
帰化とは?
日本に住んで来る外国人の方は、一定の要件を満たして法務局に申請をすることで「日本人」になることができます。この日本国籍を得ることを「帰化」と言い、帰化を願いでることを「帰化許可申請」と言います。
日本人になるには「出生よってに日本国籍を取得すること」と、「法務大臣に届け出ること」の2つの方法があります。「出生によって日本国籍を取得する」ということは、両親もしくはどちらかが日本人であれば、その子供は日本人となれます。日本は「血統主義」を採用しているため、日本で生まれただけでは日本人になれません。アメリカやアルゼンチン、フランス、ブラジル等の国は、「生地主義」を採用しているため、その国で生まれた場合はその出生地の国籍が与えられます(ただし、国籍留保の届け出をした人を除きます)。
たまに聞く「アメリカ出産ツアー」は、子どもにアメリカ国籍を取得させるためのツアーです。アメリカでも社会問題になっています。
帰化してできるようになること
日本人になることで得られるメリットは多くあります。
- ビザのことで悩まなくて済む
- 住宅ローンやクレジットカードの審査が通りやすくなる
- 日本のパスポートは191か国査証なしで渡航可能
- 選挙権を得られる(投票だけでなく、政治家の立候補、裁判員制度への参加)
- 国籍要件のある職業にも就けるようになる
まず、「ビザのことで悩まなくて済む」これは帰化のなかでも大きい動機のうちの一つではないでしょうか?日本において長期にわたって滞在し続けることは、なかなかハードルが高いことです。日本では目的や理由がなければ滞在し続けることはできません。
例えば、「留学」ビザで来日した人は、日本にいる間は学生でなければなりません。配偶者ビザの方は、要件に合った方との婚姻関係を継続し続けなければなりません。もし、これらの活動や身分をやめた場合には、やめた後の活動や身分に合わせた在留資格に変更しなければなりません。
さらに、就労系のビザの方は、更新の度に在留資格に合った業務内容であるかうぃ逐一確認されますし、なかなか安定的な「3年」や「5年」のビザはもらえません。
また、帰化と比較される「永住者」のビザの要件もかなり厳しく簡単には取得できません。
このように外国人であることで、在留資格の制限がどうしても付きまといますが、日本人になれば在留カードはなくなり、ビザの問題からは開放されます。
次に多い動機として、「住宅ローンやクレジットカードの審査」があるのではないでしょうか。最近こそは、外国人向けのものも普及していますが、特にローン関係は外国人の場合はそもそも審査自体が厳しいうえに、利率が高くなる傾向があります。クレジットカードも、審査の通る在留資格が決まっていたりするため不便を感じられていた方も多いと思います。
また、日本のパスポートは信頼度が高く、滞在目的にもよりますが、191か国で査証不要で渡航が可能なのも魅力的ですね。これは世界一です。
日本では選挙権は成人した日本国籍を保持した人しか持てません。選挙権には、投票する権利だけでなく政治家への立候補も可能になります(立候補の内容によってはさらに年齢制限や居住制限もあります)。また、裁判員制度への参加は選挙権を持っている人が要件ですので、帰化後は裁判員に選ばれる可能性もあるということです。
最後に国籍要件のある職業で代表的なものとしては「公務員」が挙げられます。特に国家公務員の場合で外国国籍の場合なれないものもあるため、これらの制限はなくなります。
帰化してできなくなること
日本では「二重国籍」を認めていません。帰化をして日本人になると、母国の国籍を失うことになります。つまり、母国に帰る際に査証(ビザ)が必要になります。いくら日本のパスポートが191か国でビザが不要とは言え、少し寂しいですね…
また、名前を変えなければなりません。日本人の名前は【「姓」と「名」】から成り立っています。中国や韓国の方はこのスタイルの方も多いですが、使える漢字が決まっているため、場合によっては変更が必要です。また、ご結婚されている方の場合は日本人の夫・妻の名字、日本人のお子さんの場合は日本人の父・母の名字になることが多いです。
カタカナは認められますが、アルファベットは認められません。帰化後は【「姓」と「名」】のスタイルのお名前にしなければなりません。
まとめ
以上、帰化のメリット・デメリットを説明いたしました。
日本国籍を入手するということは、母国の国籍を失うことを意味します。日本国籍を取得すれば、厳しくて煩わしいビザの問題からは解放されますが、それ以上に寂しさがあると思います。ご家族と、何より自分自身としっかり話し合って結論を出してください。