やっとの思いで帰化の申請ができたとしても、残念ながら帰化できず「不許可」という結果になってしまうことはあります。一度「不許可」となってしまった場合、もう二度と申請することはできないのでしょうか?
実は、そんなことはありません。本編では、不許可になってしまった場合のポイントについてご説明します。
もくじ
帰化申請の流れについて
まず、帰化申請の流れを説明します。

「帰化をしよう!」と思ったら、まず法務局に相談にいきます。法務省HPのページを見ても非常にシンプルで、何をどうしたらいいかは一切書かれていません。ちなみに、「帰化許可申請書」の見本が掲載されていますが、帰化申請の場合は「申請書」1枚提出すれば済むような話ではありません。大量の書類の準備をしなければなりません。その準備のために法務局へ相談に行くことになります。
法務局は、お住まいのエリアを管轄するところに行きます。帰化の希望者はかなり多く、都市部の法務局は予約を取るのに1〜2ヶ月かかることもあります。
法務局では、まずあなたが帰化の要件を満たしているかのヒアリングを行い、集めなければならない書類を教えてもらえます。
帰化申請は、ビザの申請と異なり法務局の相談員の方と相談を何度も相談を行います。
基本的に、「許可の見込みがある人」だけが「申請」することになります。
書類の準備が完了し、申請が受理されると審査期間に入り、その後1年程度で結果が出ます。
申請後、3〜4ヶ月程度で面接の連絡があります。また、追加書類の連絡がある場合もあります。審査中はこれらの対応をします。
追加書類で対応されない方が時々いらっしゃいますが、全く対応しない場合は不許可の可能性が高くなってしまうので、何かしら対応しましょう。
帰化の要件について
帰化の7つのポイント(普通帰化の場合)帰化の要件
- 引き続き5年以上日本に住所を有すること
- 20歳以上で本国法によって能力を有すること
- 素行が善良であること
- お金の面で生活に心配がない
- 日本国籍の取得によって、母国の国籍を離脱できる
- テロリストや反社会的勢力ではない
- 日本語能力に問題がない
普通帰化(一般的な帰化)の場合、7つのポイントがありました。
もし家族に日本人がいたり、日本に長く住んでいるなどの事情があると、要件が緩和される場合もあります。
基本的には、帰化申請では上記のようなポイントを満たしていれば許可が出ます。
「不許可」となっても「再申請」することはできます。
帰化申請は「再申請」ができます
もし、万が一「不許可」となってしまった場合でも「再申請」することができます。
再申請をする場合、また再度法務局の方と相談するところからやり直しになります。
ただ何も対策をせずに再申請をしようとしても、相談員の方のOKをもらえず申請すらさせてもらえません。
そのため、不許可の理由を明らかにし、その理由を克服した上で再申請をしなければなりません。
一度不許可になった人が、転居を機に別の法務局で帰化申請をしようとしても、うまくいかないことがほとんどです。一度不許可となったことを相談時に話したほうが、適切なアドバイスをもらえます。
また、データベースでつながっているため、隠してもバレます…
まずは、不許可の理由を法務局で確認する
残念ながら、法務局と何回も打ち合わせをし、また、行政書士などの専門家に依頼をしたとしても不許可になってしまう場合があります。
しかし、法務局で不許可の理由を教えてもらうことができます。まずは、不許可の理由を確認しましょう。
「再申請」するための対策を考える
不許可の理由
不許可の理由として主なものを挙げると以下になります。
- 申請をした時点から、大きく生活が変わってしまった場合
- 年金や税金の支払いを怠った
- 自営業で過少申告をしていた
- 交通事故を起こしてしまった
- 犯罪を起こしてしまった
- 法務局から追加書類を求められていたのに、提出できなかった
- 長期間(連続して90日以上、連続していなくても120日)、日本から出国した
- 面接で日本語能力が不足していると判断されてしまった
- 面接で適切な受け答えができなかった
- 書類に虚偽の記載をしていた
基本的には、法務局の相談員の方が事前に要件を確認してくれますが、申請後に生活が大きく変わってしまった場合が多いです。

(行政書士)
申請後の油断は、禁物です!
再申請に向けて対策を講じる
上記の理由を見ても分かるように、すぐに解決できる要因はあまりありません。
例えば、税金や年金の滞納がわかってしまった場合、申請後は「追納したからいいでしょう!」とはなりません…
そもそも、税金や年金の滞りのない支払いは「素行要件」の一部です。真面目な生活を求められます。
「追納後、半年ほど様子を見ましょうか…」と言われてしまいます。
- オーバーステイしていて在留特別許可をもらった事実を隠していた
- 申請中に長期出張をした
- 重大な交通違反を起こしてしまった
これらの理由の場合は、再申請までにどうしても「時間」が必要になります。
もし、それが分かった場合は帰化に向けて「真面目な生活」を送ることを心がけましょう。
また、日本語能力の不足を指摘されてしまった場合、語学はすぐには習得できないのでしっかり準備してから再申請することになります。

(行政書士)
再申請を検討している場合は、専門家にアドバイスをもらうことが「許可」への近道になりますよ。
まとめ
以上、帰化申請における不許可後の対応について解説しました。
帰化申請においても、再申請は可能です。しかし、「不許可」となってしまった理由を明らかにして、それを解決しない分には帰化はできません。まずは、法務局に行って不許可の理由を聞きましょう。それから、再申請に向けて準備をしていきます。
(行政書士)
帰化の許可率が9割近くある大きな理由として、「見込みのある人だけが申請できる」という背景があります。