
苦労して書類を準備し無事に申請がされた後、ようやく審査がスタートすることになります。受理されてほっとしがちですが、帰化申請は終わりません!審査期間は1年程度あります。その間の過ごし方について、また無事に許可が出た後の手続きについて解説していきます。
帰化申請後の流れについて

帰化申請は、「提出したら終わり!」というわけではありません。苦労してやっとの思いで申請した後に、長い「審査期間」に入ります。
申請の2、3ヶ月後に面談の連絡が来ます。日程を決めて面談をします。そこでも結果は言われることはありません。それからしばらく時間が経ってから結果の連絡がきます。
その間、申請が受理されてから結果が出るまでの間は全て「審査期間」になります。つまり、長い審査期間の間、法務局が何をしているかと言うと、あなたの様子をこっそり伺っています。きちんと税金や年金を納めるのか、本当に生活が安定しているのか、犯罪は犯していないかの確認を行ってから結果が出ます。
結果が出ると、官報に掲載されます。その後、法務局から連絡があり、帰化後の手続きをすることになります。帰化後の手続きには、帰化届の提出、在留カードの返却、また氏名の変更に関する届け出が複数あります。

申請後の過ごし方

申請後の注意点や生活の上で注意する点いついて確認しましょう。
申請後の注意点
まずは、申請後の審査期間中の注意点です。
ご説明した通り、帰化申請後も気を緩めずに真面目な在留をし続ける必要があります。特に、以下の点には注意が必要です。
- 税金は滞納せずにきちんと払う
- 年金は引き続ききちんと払う
- 交通違反は起こさないようにする(心配な方は極力運転しないようにしましょう)
- 犯罪は犯さない
- 大幅に年収が下がる可能性がある転職はしない(転職しないほうが無難です)
- 貯金を食いつぶすような浪費はしない(貯金が生活源である方は特に)
- 経営者や個人事業主の方で節税対策しすぎない(帰化申請では“脱税”とみなされる場合があります)
- 長期の出張や帰省等で日本からの出国期間をしない(連続で90日以上は絶対NG)
- 法務局の指示通り、生活に変更があった場合はきちんと届け出をしましょう。
※太文字は特に注意してください。
上記の内容は、審査期間中の過ごし方の注意点です。逆を言えば、上記の注意点の反対のことをすると不許可になる可能性が格段に高くなります。申請時点に要件を全て満たしていればよいわけではなく、許可が出るまで(許可が出た後も当然)適切に生活していることが求められます。「申請後〜結果が出るまで」は審査期間だということを決して忘れないでください。
審査期間中の法務局からの連絡について
審査期間中に、面談の連絡以外にも法務局から連絡があることがあります。連絡が来るケースとして下記の場合があります。
- 追加書類の提出依頼の連絡
- 職場等への架電調査
- 自宅への訪問調査
特に、追加書類の提出依頼が来ると法務局から何か疑われているのではないかと、驚かれるのではないでしょうか。しかし、何も心配する必要はなく、法務局は審査をしていく中でもう少しあなたのことを知りたいだけです。聞かれたことに対して、きちんと回答するように落ち着いて対応しましょう。
時々、法務局からの追加書類の依頼連絡に対して、回答をしない方がいらっしゃいます。そういう方の多くは「不許可」となります。出せる範囲内で書類を揃え提出するべきです。どうしても期日に間に合わない場合はその旨の連絡をしましょう。びっくりして諦めたり、無視はしないでください。
また、在籍確認のために職場に連絡があったり、結婚生活を確認するために自宅訪問をする場合もあります。もし不安であれば、事前に職場や家族に帰化申請をしている旨を伝えておくとよいでしょう。
許可後の流れ

許可後は日本人の名前で生活することになるため、様々な手続きが発生します。
帰化の許可の通知
帰化が許可されると、官報に掲載されます。官報は官報販売所や政府の刊行物センターで購入が可能です。また、インターネットで確認することもできます。(インターネット版官報)晴れてこの日から日本人ということになります。
その後、法務局から呼び出しをされて「帰化者の身分証明書」が交付されます。
帰化許可後に行うこと① 〜必ず行う手続き〜
帰化後に必ずやらなければならないのは2点です。
- 在留カードの返却 (14日以内に出入国在留管理庁宛に返却)
- 帰化届け提出(1ヶ月以内に市区町村役場に提出)
上記の手続きは、法務局で指示を受けますので早めに対応しましょう。
帰化許可後に行うこと② 〜行ったほうがよい手続き〜
帰化申請で大きく変わることは「氏名」が変わることです。また、日本人として生活するためにあらゆる手続きが発生します。その手続きをするために、まずは以下の手続きを行いましょう。
- 印鑑の作成 (日本は「判子文化」です。作っておくと何かと便利です。)
→役所に行く機会があれば「実印登録」をしておくと尚よいでしょう - 戸籍謄本の入手 (その後の氏名変更の手続きで使用する場合があります)
氏名が変わることで届出が必要なものが多くあります。下記は一例です。すべてではないのでご自身の状況に合わせて手続きをしてください。
また、企業にお勤めの方は、会社が行政している届け出も多くあります。社会保険(雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金等)等の名義変更などの手続きがあるため、迅速に社内での報告を行いましょう。
- 銀行の名義変更
- クレジットカードの名義変更
- 公共料金・電話料金の名義変更
- 保険の氏名変更
- 自動車運転免許証、営業許可証の氏名や本籍地の変更
- 法人や不動産の登記名義の変更
- パスポートの取得
- クレジットカードに紐づいているサブスクサービスの氏名変更
- マイナンバーカードの(再)発行
- 社会保険関係
特に、身分証明書関係に関わる手続き(マイナンバー、自動車運転免許証、パスポート、保険証等)は早めに済ませてしまうことをお勧めします。
まとめ

以上、帰化申請受理後の過ごし方について、また許可後の手続きの流れについてご説明いたしました。帰化の申請後も真面目な生活を続けなければ許可されません。気を抜かないように注意しましょう!また、無事許可が出た後も、まだまだ手続きは続きます。道のりは長いですね。