
税金や社会保険(年金や健康保険)をおさめるのは日本で生活する人の義務になります。年金は満20歳から60歳までの日本にいる間、支払わなければなりません。同様に健康保険について、住民税についても、外国人だから支払わなくてよいというルールはありません。税金や年金の加入状況については必ずチェックされるので注意しましょう。
支払うべき税金や年金について

帰化の意思にかかわらず、日本にいる外国籍の方は(外国籍でなくても、もちろん日本人も)支払うべき税金や年金は全て支払うのが基本です。
これらの税金・年金の中でも下記を納付したことの分かる書類は、帰化申請時に法務局へ提出をします。
- 所得税
- 住民税
- 厚生年金
- 所得税
- 消費税
- 事業税
- 法人住民税(法人の場合)
- 厚生年金(個人事業主の方は国民年金)
上記の書類について、次章にて解説をします。
国民年金・厚生年金について
会社勤めの方(第2号被保険者)や、会社勤めをしている夫や妻の扶養(第3号被保険者)に入っている方は、厚生年金に加入しています。給料から自動的に天引きされるシステムなので、何もしなくても会社が払ってくれます。
給与明細や源泉徴収票に内訳が出ていますので確認してみましょう。
自営業の人や学生の場合は、第一号保険者となり国民年金に加入することになります。お住まいの市区町村から納付書が送られてくると思いますので、必ず支払いましょう。
Q. 「外国人だし、ずっと日本にいるつもりはないし、払わなくてもいいですか?」
A. 支払うかどうかを選ぶことはできません。支払わないと、帰化申請どころかビザの更新も怪しくなりますよ。
Q. 「経営する自分の会社に従業員がいないので、厚生年金には加入していません。でも、国民年金は払っています。」
A . 法人の場合は、従業員がいなくても厚生年金に加入しなければなりません。
健康保険について
健康保険も年金と同様に、会社勤め・扶養に入っている人と自営業・学生で異なります。会社勤めの方や、会社勤めをしている夫や妻の扶養は健康保険に加入します。一方、自営業や学生は国民健康保険に加入します。支払い方法も年金と同じで、健康保険の場合は給料から天引き(会社が払ってくれている)、国民健康保険の場合は市区町村から納付書が届きます。健康保険・国民健康保険も年金と同じで強制加入です。「病院で全額負担するから払わなくていいでしょう」はダメです。
✓健康保険も厚生年金や雇用保険などを合わせて「社会保険」と呼ばれます。
どれも給料から天引きされているかと思います。
税金について

税金については、主に所得税や住民税の支払い状況が確認されます。サラリーマンの方の場合は、給料から天引きがされますが、特に経営者の方の場合は税金が複雑ですので確認が必要です。
所得税について
会社勤めや、会社勤めの夫・妻の扶養に入っている人は、所得税についても給料から天引き(会社が払っている)されます。よく聞く「源泉徴収」という言葉は所得税のことを指しています。会社は一度所得税を従業員から預かり、従業員に代わって支払う仕組みです。また、「年末調整」は所得税の控除になる金額を申告するために提出しています。
もし、1箇所でのみお給料をもらい、きちんと会社が支払ってることが給与明細からわかる場合は、だいたい問題ないと思います。
一方気をつけなければならないのは、自営業の人や複数から給料をもらっている人、副業をしている人です。この場合、多くは「確定申告」をしなければなりません。「確定申告」は所得税のためにするものです。
扶養内で働いていますか?
「日本人配偶者等」や「永住者」のビザの方は、「家族滞在」の方と異なりアルバイト・パートの就労制限はありません。週28時間以上働いても大丈夫です。
しかし、会社勤めをしている夫や妻の「扶養」に入っている場合、「扶養」に入ることができる収入には上限があります。もちろん、それ以上働いても問題はありません。その場合は「扶養」から外れて、自分が働く会社で年金や健康保険、所得税、住民税を払うことになります。
130万円の壁:社会保険の扶養から外れる金額(会社によりますが、だいたいこのくらい)
48万円の壁:アルバイト・パートではなく、自分で稼ぐ場合の上限額。これ以上稼ぐと扶養控除を受けられなくなります。
副業については気をつけて…
最近では、副業Kという会社が増えてきました。逆に「副業禁止規定」がある会社は、帰宅後や土日であっても副業はNGになります。
副業をする場合、「確定申告」が必要になる場合があります。確定申告をして、きちんとした金額の所得税を納めなければ、やはり「素行が良い」とは見なされません。就労ビザの方は、副業においても業務内容に問題がないか、資格外活動許可をきちんと取っているかは確認されます。
②2カ所以上から給与をもらっている人
住民税について
会社勤めや、会社勤めの夫・妻の扶養に入っている人は、住民税についても給料から天引き(会社が払っている)されます。一方の個人事業主や学生、また、特別徴収を行なっていない会社の人の場合は市区町村から納付書が届きます。
法人税・事業税について
会社を経営されている方は、その会社ごとに法人税、法人住民税、消費税、事業税を支払っている必要にがあります。いくら税理士さんがOKと言ったとしても、脱税はしてはいけません。
法人の税金については確認が難しいので、必ず専門家に相談得るようにしましょう。
まとめ

以上、帰化の「素行要件」で確認される税金や年金についてご説明いたしました。年金や税金は未納があることが申請前に分かれば、受理すらされません。事前に確認し、もし未納があればしっかり納めるようにしましょう。また、申請後も安心して未納を出してしまうと不許可になってしまいます。厳しくみられますので、気をつけてください。

【行政書士からのアドバイス】
年金や税金の制度は複雑です。不明な点がある場合は、役所に確認して指示を仰ぐ必要がある場合もあります。気になることがある場合には、当事務所にご相談下さい。