
外国人家族でそのうちの1人だけ帰化申請をした場合、「家族滞在」などの「就労ビザ」で働く家族の扶養を受けて生活する在留資格(ビザ)で在留している方は、「家族滞在」などから別の在留資格に変更しなければならない場合があります。例えば、「家族滞在」で在留していた「子」は「定住者」などが該当します。本編では、このような場合の在留資格(ビザ)の変更手続きについて解説します。
【例】外国人家族で「父」だけ帰化した場合
例えば、外国籍の父・母・子の3人家族がいて、父の在留資格は「技術・人文知識・国際業務」、母と子の在留資格は「家族滞在」の場合、父が帰化して「日本国籍」となった場合は、「母」と「子」は「家族滞在」から適切な在留資格に変更します。
日本人の配偶者(妻・夫)となった場合は「日本人の配偶者等」
「日本人の配偶者等」という在留資格は「配偶者(妻・夫)」と「子」が対象となります。
詳しく説明すると、(申請をしたい外国人が)夫・妻の場合には、現在婚姻関係中の配偶者(妻・夫)でなければなりません。つまり、婚約中や内縁関係、死別や離婚した場合は対象になりません。
(申請をしたい外国人が)子の場合には、日本人の子として出生した実子か日本人の特別養子(一般の養子は対象になりません)が対象になるため、帰化した「父」の外国籍の「子」は「日本人の配偶者等」ではなく、別の在留資格(「定住者」)が該当します。
親の帰化によって日本人の子となった場合は「定住者」
「父」のみが帰化して「日本国籍」となった場合場合、外国籍の「子」(未成年で未婚の実子)については、「定住者」を検討します。この場合には「定住者告示6号イ」に該当をしますが、下記のように定められています。
定住者告示6号
次のいずれかに該当する者(第1号から第4号までまたは第8号に該当する者を除く。)に係るもの
イ 日本人、永住者の在留資格を持って在留する者又は日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成3年法律第71号)に定める特別永住者の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子
今まで「家族滞在」で在留していた「子」は未成年(民法の改正で18歳未満)で未婚の実子の場合で扶養を受けて生活する場合には、「定住者」に変更をすることができます。
「家族滞在」では、「扶養を受けて生活する子」であれば18歳以上でも許可が出る可能性はありますが、「定住者」では対象外(18歳未満に限定)となるため、学生であれば「留学生」、就職先がある場合には「(いわゆる)就労ビザ」もしくは日本で生活を始めた時期に合わせて「特定活動」(日本の中学校、高校を卒業した場合)や「定住者」(日本の小学校を卒業した場合)などを検討をすることになります。
▶参考:「家族滞在」の在留資格をもって在留し、本邦で高等学校卒業後に本邦での就労を希望する方へ
在留資格(ビザ)の手続きについて
帰化して「日本国籍」になった後、様々な手続きが続きますが、家族が外国籍の場合で変更が必要な場合には入管での手続きが必要になります。
海外から家族を呼ぶ手続き ~在留資格認定証明書交付申請~
海外にいる家族(妻・夫・子)を日本に呼ぶ場合の手続きを「在留資格認定証明書交付申請」といいます。この手続きは、出入国在留管理局で呼ぶ側(日本人)が代理人となって手続きを行います。もし、夫婦ともに海外にいる場合には、日本人の親族が代理人となって手続きをすることができます。
他の在留資格から「日本人の配偶者等」へ変更する手続き ~在留資格変更許可申請~
既に日本で生活している家族(妻・夫・子)の在留資格を「日本人の配偶者等」に変更する場合には、「在留資格変更許可申請」を行います。この手続きは、日本人の家族(妻・夫・子)が住んでいる地域を管轄する「出入国在留管理局」で手続きを行います。
必要書類について
配偶者(妻・夫)の場合 |
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・在留資格認定資格認定証明書交付申請書/在留資格変更許可申請書 ・証明写真 ・配偶者(日本人)の戸籍謄本 ・外国人の国籍国の機関から発行された結婚証明書 ・日本での滞在費用を証明する資料 ・配偶者(日本人)の身元保証書 ・配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し ・質問書 ・夫婦間の交流が確認できる仕様(スナップ写真や通話記録等) |
※上記のほかに、結婚生活について補足で説明する書類や過去の在留状況を示す書類を出す場合もあります。上記の内容は最低限の書類になります。
子の場合 |
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・在留資格認定証明書交付申請書/在留資格変更許可申請書 ・証明写真 ・親(日本人)の戸籍謄本 ・親(日本人)の直近1年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書 ・親(日本人)の職業・収入を証明するもの(在職証明書など) ・親(日本人)の身元保証書 |
※上記のほかに、生活について補足で説明する書類や過去の在留状況を示す書類を出す場合もあります。上記の内容は最低限の書類になります。
出入国在留管理局へ申請をする
基本的に申請は申請人の居所を管轄する入管、もしく外国人や申請代理人の居住地を管轄する入管で行います。
申請先については下記の通り決まりがあります。
居住予定地もしくは申請代理人の住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
【在留資格変更許可申請 or 在留期間更新許可申請】
住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
地方出入国在留管理官署 | 管轄する区域 |
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札幌出入国在留管理局 | 北海道 |
仙台出入国在留管理局 | 宮城県、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県 |
東京出入国在留管理局 | 東京都、神奈川県(横浜支局が管轄)、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、 群馬県、山梨県、長野県、新潟県 |
名古屋出入国在留管理局 | 愛知県、三重県、静岡県、岐阜県、福井県、富山県、石川県 |
大阪出入国在留管理局 | 大阪府、京都府、兵庫県(神戸支局が管轄)、奈良県、滋賀県、和歌山県 |
広島出入国在留管理局 | 広島県、山口県、岡山県、鳥取県、島根県 |
福岡出入国在留管理局 | 福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県、宮崎県、 沖縄県(那覇支局が管轄) |
分局が近くにない場合には、最寄りの支局や出張所での申請も可能です。ただし、支局や出張所次第では在留資格の申請を受け付けていない場合もあるため確認が必要です。
▶出入国在留管理庁:管轄について
誰が申請をするのか
海外から呼び寄せる場合には、基本的には申請人(外国人)を招へいする本邦に居住する日本人か、日本人の親族が代理人として申請を行うことができます。申請人の居住予定地か親族などの申請代理人の住居地を管轄する入管に申請に行きます。申請人が16歳未満の子どもの場合は、法定代理人(父母等)が代理人として申請することができます。
いずれの場合にも夫婦そろっての同時入国は条件が揃っていれば可能です。
一方、届け出を行っている「取次者」であれば、申請を代わって行うことができます。「取次者」の例として、行政書士、弁護士が該当します。
まとめ
以上、帰化して日本国籍になった方の家族でそれまで「家族滞在」などのいわゆる家族ビザで在留していた家族(配偶者や子)は在留資格の変更をしなければなりません。
例えば、「子」で未成年(18歳未満)で未婚、かつ扶養を受けて生活する「子」の場合は「定住者」が該当する場合があります。18歳以上の場合には、学生の場合には「留学」、就職を予定している場合には、いわゆる就労ビザ以外でも、「特定活動」(日本の中学校、高校を卒業した場合)や「定住者」(日本の小学校を卒業した場合)を検討することができます。

【行政書士からのアドバイス】
当事務所では帰化申請だけでなく、在留資格の申請手続きのサポートも行っております。お気軽にご相談ください。