帰化申請を検討した場合に、まず難易度は気になりますよね。どのくらいの割合が許可されているのか気になるところだと思います。
実際に、帰化許可申請の許可率は高いです。しかし、難易度はかなり高いのが現状です。本編では、その理由について解説していきたく思います。
帰化許可の許可率
帰化許可申請の不許可率は10%未満で推移しています。つまり、9割以上は許可になると言えます。
ビザの許可率と比較すると非常に高いと感じませんでしたか?特に、帰化にするか永住者ビザにするか悩まれた際に、「永住者ビザ」は不許可率が高いと聞いていた方も多いと思います。拍子抜けするほど許可率が高くて驚かれたかもしれません。
しかし、この許可率の高さにはカラクリがあります。
帰化申請の流れと要件の確認
まずは帰化申請までの流れと帰化するために必要な要件について確認をします。帰化申請は申請までの準備期間が非常に長くなっています。
帰化申請の流れ
高い許可率のカラクリの説明の前に、帰化申請の流れを説明します。
「帰化をしよう!」と思ったら、まず法務局に相談にいきます。法務省HPのページを見ても非常にシンプルで、何をどうしたらいいかは一切書かれていません。ちなみに、「帰化許可申請書」の見本が掲載されていますが、帰化申請の場合は「申請書」1枚提出すれば済むような話ではありません。大量の書類の準備をしなければなりません。その準備のために法務局へ相談に行くことになります。
法務局は、お住まいのエリアを管轄するところに行きます。帰化の希望者はかなり多く、都市部の法務局は予約を取るのに1〜2ヶ月かかることもあります。
法務局では、まずあなたが帰化の要件を満たしているかのヒアリングを行い、集めなければならない書類を教えてもらえます。
そして、「集めてから、再度予約をとって再度来てください」と言われることになります。
収集と相談のやり取りで、まず時間を取られます。自分で申請する場合は2、3回で終わることも少なく、長い人では1年がかりという方もいます。急いでいる場合には、専門家に相談された方がよいでしょう。
つまり、「許可の見込みがある人」だけが「申請」しているから許可率は高いのです。
書類の準備が完了し、申請が受理されると審査期間に入ります。
申請後、3〜4ヶ月程度で面接の連絡があります。また、追加書類の連絡がある場合もあります。審査中はこれらの対応をします。
追加書類で対応されない方が時々いらっしゃいますが、全く対応しない場合は不許可の可能性が高くなってしまうので、何かしら対応しましょう。
審査期間は、申請からだいたい1年程度です。
なぜこんなに長いかというと、申請中もあなたの日本での生活振りをチェックするためです。申請をして油断して年金や税金の滞納があったり、長期で出国をすると不許可になるので注意してください。
無事に申請して、許可が出るまで引き続き変わらない生活を送っていれば、許可の可能性がグッと高くなるということなります。
帰化の要件について
帰化は在留状況や家族構成によって要件が変わってきます。まずは、”普通帰化”の要件について確認してみましょう。
- 引き続き5年以上日本に住所を有すること
- 18歳以上で本国法によって能力を有すること
- 素行が善良であること
- お金の面で生活に心配がない
- 日本国籍の取得によって、母国の国籍を離脱できる
- テロリストや反社会的勢力ではない
- 日本語能力に問題がない
普通帰化(一般的な帰化)の場合、7つのポイントがありました。
もし、家族に日本人がいたり、日本に長く住んでいるなどの特殊な事情があると要件が緩和される場合があります。
帰化申請では、上記のようなポイントを満たしていれば許可が出ます。許可を得るためにはこれらを証明すべく証拠書類を集めて提出することになります。
帰化申請の許可率は高いですが、いざ帰化申請をしようと法務局に相談に赴いても、そこで「帰化は難しいと思います」という相談員のコメントをいただくことがあります。帰化は許可率は一見高く簡単そうに感じるかもしれませんが、そもそも要件を満たさない人は「申請」すらできていないので、帰化における大きなハードルはある意味「申請すること」かもしれません。
普通帰化の詳しい要件は↓の記事で確認してみてください。
不許可になる理由
申請はできたものの、残念ながら不許可になってしまう場合があります。実際に1割程度の人が不許可になっています。不許可となってしまった理由の例を見ていきます。
- 申請をした時点から、大きく生活が変わってしまった場合
→転職をして年収が下がった、離婚してしまった - 年金や税金の支払いを怠った
→申請後も払い続ける必要があります。(もちろん、許可後もです) - 自営業で過少申告をしていた
→過少申告は「税金を納めていない」とみなされます - 交通事故を起こしてしまった
- 犯罪を起こしてしまった
- 法務局から追加書類を求められていたのに、提出できなかった
- 長期間(連続して90日以上、連続していなくても120日)、日本から出国した
→これは申請後、帰化の許可をもらえるまで気をつけなければなりません。 - 面接で日本語能力が不足していると判断されてしまった
- 面接で適切な受け答えができなかった
→申請書類と矛盾があっては不許可の原因となります。 - 書類に虚偽の記載をしていた
申請できたことで安心して生活を大きく変えると不許可の原因となってしまうので、要注意です。
また、面接時に緊張してきちんとした受け答えができず不許可になってしまう場合もあります。面接についてもある程度ポイントが決まっていますので、きちんと準備してから臨めば問題ないと思います。
面接については下記に解説しております。参考にしてみてください。
ちなみに、帰化許可申請は再度のチャレンジ(再申請)は可能です。
ただし、1回目の申請に比べて審査は厳しくなるうえに、前回不許可だったポイントを改善した上で申請しなければ許可は得られません。不許可になる理由を洗い出し、可能性をつぶし、場合によっては時間を1~2年おいてから申請することが望ましいです。
まとめ
以上、帰化の許可率と不許可の理由について説明致しました。
帰化許可申請は、許可率は9割近くあります。一見、永住者ビザより許可率が高く簡単そうに感じますが、実は「申請」までに高いハードルがあります。
無事に申請できても不許可になってしまう人はいます。不許可の理由としては、申請後に安心して生活が大きく変えてしまうケースもあります。申請後の過ごし方についても、気をつけていきたいところです。