帰化の素行要件でやっぱり気になるのが「道路交通違反」ではないでしょうか。車を運転していれば誰しも違反や事故は起こしてしまう可能性があります。帰化申請では軽微なものが数回であれば問題ないと言われています。では、実際にどの程度から審査に影響が出るのか見ていきましょう。
帰化申請で交通違反や犯罪が確認される理由
帰化申請は、日本での在留年数の要件を満たしていれば、許可されるような簡単な申請ではありません。
在留年数の他にも、素行要件(真面目に日本で生活してきたか)や生活要件、日本語能力など総合的に帰化に値するかが判断されます。
帰化に必要な大事な7つのポイントは以下になります。
②能力要件:20歳以上で本国法によって能力を有すること
③素行要件:素行が善良であること(税金や年金をきちんと収めて、交通違反や犯罪をおかしていないこと等)
④生計要件:本人又は生計を一にする配偶者やその他の親族の資産や仕事によって安定して生活を送れること
⑤喪失要件:日本国籍取得によって、母国の国籍を失えることができること。もしくは無国籍者
⑥思想関係:日本政府を攻撃するような思想を持っていたり団体に属していないこと
⑦日本語能力:日本で生活する程度で困らない以上の日本語能力があること
以上のように、帰化申請において「交通違反や犯罪を犯していない」ということは非常に重要なポイントになります。帰化申請において最も重要なことは、上記の7つのポイントを総合的に評価・審査されるということです。
他の人が「この程度の交通違反」で不許可にならなかったことも、他の要素と総合的に判断して不許可になり得ることもあります。あくまで総合判断になるため、基本的には違反や犯罪は無いに越したことはありません。
絶対に忘れてはならないのは、上記の7つのポイントは申請中も継続している状態があります。申請後~結果が出るまでの長い期間中も、違反や犯罪を犯すことがあってはなりません。審査に影響し、最悪不許可になることもあり得ます。申請中も結果が出るまでは(結果が出てからも)十分に気を付けて生活してください。
交通違反をしてしまっている場合
交通違反は1回でもしてしまった場合は、帰化が許可されないのではないかと不安になる方も多いのではないでしょうか。また、常時車を運転される方軽微な交通違反を重ねている方の場合、交通違反の内容を忘れてしまっている場合もあるかもしれません。運転の記録と違反件数の目安について確認をしましょう。
「運転記録証明書」で過去の違反歴を確認してみましょう。
車の運転をしていると、一時不停止、スピード違反、駐車違反など、運転に最新の注意を払っていても、うっかり違反をしてしまうことがあるかと思います。帰化申請や、永住者ビザの審査では、これらの違反は少なからず影響が出ます。
運転免許の履歴を見られるのは「5年」です。過去の違反の履歴を知りたい方は、自動車安全運転センターが発行する運転記録証明書を取得してみましょう。まずは、現状を把握してみましょう。
あまりに違反の回数が多い方は、これらの記録を取得した上で、法務局や帰化の専門家に見せながらアドバイスを受けるとよいでしょう。
郵送でも取得が可能です。
違反件数の目安
5年のうちに軽微な違反(一時不停止や右折禁止違反)であれば概ね5回以内であれば問題ないと言われています。酒気帯び運転については、1回でもかなり厳しくなります。また、免許取り消しの場合も、申請を受理してもらえない可能性が高くなります。この場合は、最後の重大な違反から期間をあけてからでないと申請できません。
参考までに、警視庁の交通違反の点数一覧を挙げます。
既に免停(過去3年の累積が6点以上14点以下)ぎりぎりの人の場合は、無事に帰化できるまでは運転を控えたほうがよいでしょう。
犯罪をしてしまっている場合
前科がないことが前提になります。
軽犯罪(暴行や窃盗)の場合で、当人同士で示談した場合や、不起訴処分(起訴猶予)の場合は記録に残っていないので問題ありません。
起訴されて、罰金刑以上になってしまった場合は、それから3〜5年経過しないと帰化申請することはできません。期間をあけて申請することになります。
当然ですが、警察のお世話になっていなければ問題ないでしょう。
まとめ
以上、交通違反や犯罪についての基準についてご説明いたしました。上記は、あくまでも目安です。実際には、他の素行要件も合わせて総合的に判断されることになります。交通違反の他にも納税が不安定な場合には、上記の範囲内でも申請を受け付けてもらえない場合もあります。また、罰金を払っているからと言って、「一生、帰化できない」わけでもありません。必ず法務局に事前に相談に行って確認しましょう。
【行政書士からのアドバイス】
交通違反や犯罪については、内容次第では申請自体がそもそも受理されない場合があります。気になる場合は、法務局に相談されるのが確実です。