帰化申請では、申請が受理されるまでが非常に高いハードルとなっています。要件をおさえ、それを証明する書類を添付することができれば申請は受理されます。しかし面接で嘘をついたり、実は「在留状況が怪しい…」と思われると不許可となる場合があります。今回は、意外と見落としがちな在留状況のポイントについて説明します。
帰化申請に影響する在留不良とは
日本に住む外国人は日本の法律を守りながら生活をしなければなりません。守るべき法律は入管法(出入国管理及び難民認定法)だけには限りません。
「在留状況が不良」とはどういう状況?
出入国管理及び難民認定法第二十二条の四において在留資格の取り消しになる事由が挙げられています。これらに該当している状況で日本に在留していることは在留状況が良くないと言えます。
第二十二条の四
出入国管理及び難民認定法 第二十二条の四 ※一部省略・修正
一〜四 偽りその他不正の手段により、許可を受けたこと
五 在留資格に定められた活動を行っておらず、また他の活動を行っている場合
六 在留資格に定められた活動を継続して3ヶ月以上行わずに在留していること
七 日本人配偶者等、永住者の配偶者等の場合、配偶者の身分を持たずに6ヶ月以上在留していること
八 中期滞在者になった者が90日以内に住所の届け出をしていない場合
九 中期滞在者で転居をした者が90日以内に住所の届け出を行なっていない場合
十 虚偽の住所を届け出た場合
よくあるのが住所の届け出を忘れていたり、転職のために退職をしたがなかなか次の仕事が決まらず3ヶ月以上経過してしまっている場合です。これらの理由は、帰化申請以前にビザの更新の際に「不許可」になる可能性が高くなります。
帰化申請で注意が必要なのは、特に五の「在留資格に定められた活動を行っておらず、また他の活動を行っている場合」です。
なかには「こうやったらビザが取れる」と根拠のない噂だけで、嘘の申請をしてしまった方もいるかもしれません。その場合は、帰化申請の前に現状を改善しましょう。
今の在留資格を確認しましょう
現在の在留資格を在留カードから確認してください。
就労系のビザをお持ちの方は、それぞれの在留資格ごとに「やっていい仕事/やってはいけない仕事」があります。特に一度在留資格を取得した後に転職をした場合、転職後の仕事内容も問題はありませんか?
また、「高度専門職」や「特定活動46号」で在留している方は、パスポートの指定書をみてみましょう。当然ながら、就業先が変わっている場合は業務内容が同じでも在留資格変更許可を貰わないといけません。(もし、該当していたら急いで申請してくださいね)
身分(配偶者)のビザをお持ちの方は、婚姻関係は続いていますか?当然、偽装結婚のような状態は認められることはありません。隠して帰化申請を行った場合、申請後の調査で必ずバレます。
例えば、「日本人配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格をお持ちの方は、仕事内容に制限はありません。
きちんと確認をしましょう。
面接で聞かれます。「現在のお仕事は?」
面接において日本でフルタイムの仕事をしている方は、現在の仕事状況について質問をされます。その際に、在留資格の範囲内で認められた活動以外を行っていることが確認できた場合には、帰化許可申請は許可されません。
在留状況については、面談でも確認されます
「技術・人文知識・国際業務」の就労資格で働いている人は、特に注意してください。前回ビザを変更・更新した際の業務内容は覚えていますか?現在でも、申告した仕事内容をしていますか?
最近では実態が伴わない「在留資格(ビザ)の許可を取るためだけの申請」が残念ながら増えています。これは、先ほどもご説明した通り違法であり「在留資格の取消」の対象です。本来であれば、出入国在留管理局が見抜くべきものですが、防げていないのも事実です。
特に何度更新しても「1年」しかもらえない!と悩んでいる方、要注意です…
面接で仕事内容を聞かれた際に、在留資格で定められた活動範囲と実際の仕事内容が異なると不許可になるだけでなく、次の在留資格の更新申請にも大きな影響が出る可能性は非常に高いです。
面接で嘘はついてはいけません
面接で嘘をついては絶対にダメです。申請書類と面接の内容に矛盾があると、不許可になります。もし、「嘘をつかなければ許可を得られない」人は、帰化申請の前に現在の在留状況を整える必要があります。その場合は専門家に相談してみましょう。
嘘をつくつもりがなくても、申請した内容を忘れた!ということにならないように、特に「動機書」については必ず控えを取っておくようにしましょう。
まとめ
以上、在留状況について確認するポイントをご説明いたしました。ビザの変更や更新の際には、出入国在留管理局の審査官に在留状況は厳しくチェックされますが、これは帰化申請においても同じことです。もし、現在の状況が「嘘」をつかなければどうにもならない状況の場合は、事前に専門家に相談するようにしてください。