帰化申請の申請書類は、非常に厄介です。特に注意が必要なのが「履歴書」です。この書類は、生まれてから現在までの「住所」「学校」「勤務先」「身分関係」をすべて書きます。中でも、引っ越歴は思い出せない方もいらっしゃるのではないでしょうか。本編では、過去の住所を調べるためのヒントを解説致します。
帰化申請の申請書類「履歴書(その1)」には何を記入する?
申請書類のうちの1つ「履歴書(その1)」はシンプルなフォーマットです。記入する項目は「居住関係」「学歴・職歴」「身分関係」の3つになります。
「居住関係」は今回のメインテーマでもある引っ越歴です。母国の住所(引っ越しの記録)も記入する必要があります。「年月日」の部分は日にちまで思い出せなければ無理に書かなくても基本的には問題ありません。
母国の住所の記録についてはその国ごとにルールは異なりますが、日本の場合はある程度は遡って確認する手段があります。例えば「外国人登録原票」「在留カード」「住民票」などで確認することができます。
「学歴・職歴」については、母国で通った小学校から記入します。職歴については勤務先だけなく、どんな仕事をしたかを書く必要があります。また、日本で行ったアルバイトも記入します。
身分関係は、結婚や子供の出産などを記入します。
いつ引っ越したか昔の事で思い出せない ~外国人登録原票について~
過去の住所については「外国人登録原票」という書類から確認することができます。外国人登録原票は現在は無い書類になります。
「外国人登録原票」とは
2012年7月9日まではの外国籍の方の“特定の個人を識別することができる個人情報”は,出入国在留管理庁において適正に管理されています。そのため、2012年7月9日までの住所は、「外国人登録原票」を取得することで確認することができます。
2012年7月9日より前は、外国人には外国籍の方には住民票がありませんでした。住民票がない代わりに「外国人登録原票」によって管理がされていました。これは現在でも取得することができます。この日以降は住民票が外国籍の方にも作られるようになり、現在のように在留カードが発行されております。
以前は帰化申請の添付資料として必須ですが、2021年2月現在必須の書類ではありません。とは言え、2012年よりも前から日本に来られていて、引っ越しを複数回行われている場合は取得されたほうがよいでしょう。帰化申請では限りなく正しく情報を書かなければなりません。
「外国人登録原票」の開示請求方法について
「外国人登録原票」は出入国在留管理庁に対して開示請求を行います。郵送で申請することができます。取得までに2~3週間程度かかる場合もあるようですので、情報を入手したい場合には計画的に早めに申請されることをお勧めします。
「外国人登録原票」についての取得についてはこちらの出入国在留管理庁のページをご参照ください。
最近の住所をしらべるには
外国人登録原票撤廃後は、在留カードを見ると住所を確認することができます。
「在留カード」を確認
シンプルに在留カードを確認してみましょう。
在留カードは引っ越しをした場合、裏面に記載をされます。そこには新しい市区町村に転入した日付も記載されます。過去の穴の開いた在留カードを取っているのであれば、住所と転入日が全て分かるはずです。
※引っ越しが多い方の場合、在留カードの裏面を消されてその上から書かれる可能性があり、全ての住所が確認できない場合があります。
「住民票」を取り寄せる
過去の在留カードはすべて捨ててしまったという方は、過去5年以内であれば住民票を取り寄せることで住所が分かります。
過去に住んでいた住所を管轄する役所に対し、除住民票(住民票除票)という書類を請求すると、過去の住所を調べることができます。もし遠距離の役所だったとしても、今は郵送で取得することができます。
「普通帰化」に該当する場合、過去5年間の居住歴を示す書類として直近5年間の住所が分かる書類として申請することになります。
【参考】「外国人出入国記録の写し」を取り寄せる
外国人出入国記録とは、日本からの出入国の記録が分かる書類です。ここには出入国の詳細だけではなく在留カードに記載の上表も記載されるため住所を知ることもできます。ただし、すべてではなく一時点の者になるため参考程度にして下さい。
ただし、この書類も帰化申請の申請書を作成する際には取り寄せたほうがよい書類となるため、取得したところで法務局に提出することになるため無駄にはなりません。
これは出入国在留管理庁に申請します。郵送で取得することができます。
詳しくは、こちらの出入国在留管理庁のページを参考にして下さい。
まとめ
以上、帰化申請における申請書類に記入するべき過去の住所が分からない場合についての住所の調べ方についてご説明致しました。
引っ越しが多いと帰化申請の書類作成は大変ですが、「外国人登録原票」「在留カード」「住民票」などを手掛かりを頼りに丁寧に書類を作成すれば難しいことはありません。特に外国人登録原票や住民票などは絶対に参考すべき情報です。