上記の質問について詳しく解説します。
国籍法6条について
日本生まれの方の帰化の要件については、国籍法6条に定められています。
六条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
国籍法 第六条
一 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有するもの
二 日本で生まれた者で引き続き三年以上日本に住所もしくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
三 引き続き十年以上日本に居所を有する者
日本生まれの方の場合、引き続き3年以上日本に住所もしくは居所を有している場合は、「普通帰化」で求められている「5年以上、引き続き日本に住所がある」という要件が緩和されます。
日本で生まれた方が帰化申請の際に、審査されるポイントは以下の通りです。
- 18歳以上で本国法によって能力を有すること
- 素行が善良であること
- お金の面で生活に心配がない
- 日本国籍の取得によって、母国の国籍を離脱できる
- テロリストや反社会的勢力ではない
- 日本語能力に問題がない
次に、一つ一つ項目を確認していきます。
日本で生まれた外国籍の方が帰化するための6つの要件・ポイントについて
日本で生まれた外国籍の方が帰化するための6つの要件・ポイントについて解説をします。
ポイント1 18歳以上で本国法によって能力を有すること
帰化申請は成年に達していれば申請することができます。日本では18歳以上が成年となります。また同時に、母国の法律でも成年に達している必要があります。また、ご自身で「帰化をする」といった重要な決断をすることができるということも大事なポイントです。
ポイント2 素行が善良であること
まずは、入国から現在に至るまでの暮らしを振り返ってみましょう。日本の法律を守って生活をされていますか?特に確認されることとして、年金や税金の支払い、交通事故や犯罪歴について審査がされます。
年金、税金きちんと払っていますか?
日本の法律では、外国人も払わないといけないと定められています。会社勤めの方は、厚生年金・所得税・住民税は、お給料から天引きされているはずです。主婦(夫)でパートナーの扶養に入っている場合は、パートナーの給料明細を確認しましょう。日本人配偶者の方は、アルバイトやパートの週28時間の就労制限はありませんが、在留資格「家族滞在」の方についてはお給料が「扶養に入ることができる金額」をオーバーしているようですとそれは脱税になりますから注意して下さい。
経営者の方は、会社の税金が適切に納められているかもチェックされます。
交通事故や犯罪は起こしていませんか?
軽微な違反は「2年間で3回まで」と最近厳しくなりました。これ以上違反している場合は、一定期間あけてから申請することになります。これは軽微な違反ですので、重大な違反は1回でも不許可になる可能性があります。違反の回数については、審査期間中もカウントされますので、帰化申請は審査期間に1年以上かかることがあるため、車をよく運転する方には「高いハードル」となる場合もあり得ます。とにかくも運転には注意が必要です。
犯罪は不起訴処分に終われば問題ないですが、罰金刑の場合はしばらく時間を経過しないと申請できません。母国では合法でも日本では違法になるものもあるので、注意してください。(例えば、麻薬や拳銃の所持です)
また、当たり前の話になりますが、在留資格に定められた活動内容できちんと在留している必要があります。そもそも、不法就労をしている人、偽装結婚している人は在留資格も維持できるはずがなく、帰化申請も許可されません。心当たりのある人は、専門家に相談してください。
今の在留資格の更新が危うい方はそもそも帰化申請も許可されない、ということになります。
ポイント3 お金の面で生活に心配がない
安定した生活を送れている必要があります。
金額は明示されておりませんが、「安定した生活を送れる年収基準」が2022年春頃より厳しくなりました。家族構成、扶養者の人数(国内だけでなく海外も含め)、その他の資産の保有状況にもよるため一概には言えませんが、今までの基準よりも一段階厳しくなっています。(これは参考程度の情報にはなりますが、家族4人で世帯年収400万円は一つの目安になります。)
年収が家族構成に見合っていないほど少なかったり、返済できないほどのキャッシュローンがあったりすると、「安定している生活を送っている」とは言えません。自己破産したばかりの方も厳しいです。
経営者の方は会社の経営状態もみられます。一時的に業績が悪化していたり、新設会社の場合は事業計画書や専門家の意見を添えて、生活に問題がないことを積極的にアピールする必要があります。
ポイント4 日本国籍の取得によって、母国の国籍を離脱できる
日本は二重国籍については認めておらず、日本国籍を取得すれば外国籍を離脱しなければなりません。国によっては、離脱を禁じているところもありますので事前に確認しておきましょう。
ポイント5 テロリストや反社会的勢力ではない
日本政府に対して、暴力や危険な思想を主張するような団体に結成したり加入したことのある人は帰化できません。例えば、テロリストや反社会的勢力が該当します。
ポイント6 日本語能力に問題がない
よく言われる基準として、小学校3年生程度の日本語能力を有していれば問題ないと言います。
日本語能力は、申請受理後の面談で確認されます。スムーズにお話しできる方は問題ありませんが、必要なレベルに達していないことを疑われた場合、簡単な読み書きのテストを実施することもあります。
日本生まれで日本で多くの時間を過ごされた方や、日本の義務教育を卒業された方であれば日本語のテストは行われないかと思います。
まとめ
以上、日本で生まれた外国籍の方が帰化する際の審査のポイントについて解説しました。
日本生まれの方は、6つのポイントから審査されます。日本生まれの方は、特に、日本で安定して生活を送れていること、税金や年金の支払いに問題がないこと、交通違反や犯罪がないことなどが、特にポイントになってきます。
【行政書士からのアドバイス】
日本生まれの方で特に在留資格が「永住者」や「特別永住者」ですと、いつか申請しよう、という気持ちで進まない場合もあるかもしれません。一方で、帰化許可申請の審査の基準は年々厳しくなっている傾向があります。後回しにすることで帰化申請ができない状態になっている場合もあるかもしれません。決断されたときは早めに動かれてください。