上記の質問について詳しく解説します。
戸籍とは
戸籍は、「夫婦当時を同じくする子(未婚の子)」を単位として、日本人の身分事項(出生、婚姻、子どもの出生、離婚、死亡など)を記録して、本籍地を置く役所で管理をすることを目的に作られます。
帰化が許可されると、許可された方に対して帰化が許可された旨の通知がされて「身分証明書」が交付されます。許可された方は、この身分証明書を居住地を管轄する市区町村に対して「帰化の届出」を行いますが、その際に身分証明書を添付します。この届出がされると、新たな戸籍が作られることになります。
帰化申請の必要書類の中には母国から集める書類がたくさんあったと思います。例えば、ご自身やお子さんの出生証明書やご両親の結婚証明書、ご自身の結婚証明書などがあります。これらは、帰化の許可のための要件そのもの話ではなく、新しく戸籍を作るために必要な書類でした。これらの書類をもとに「身分証明書」は作成され、この内容に則って身分事項について登録がされることになります。
帰化後の名前について
帰化後の名前ですが、使える文字にルールがあります。また、同じ戸籍になる家族は同じ氏(名字)になります。
使える文字の決まりについて
日本人の名前は「氏(名字)」+「名」で構成されますので、この形のお名前を考えることになります。
また、使える文字も決まりがあります。
第六十条 戸籍法第五十条第二項の常用平易な文字は、次に掲げるものとする。
戸籍法施行規則 第60条
一 常用漢字表(平成二十二年内閣告示第二号)に掲げる漢字(括弧書きが添えられているものについては、括弧の外のものに限る。)
二 別表第二に掲げる漢字
三 片仮名又は平仮名(変体仮名を除く。)
法務省では名前に使える漢字を定めています。「常用漢字」と「人名用漢字表」に定められた漢字を使用することができます。こちらの法務省『子の名に使える漢字』のページをご参照ください。http://www.moj.go.jp/MINJI/minji86.html
ひらがなやカタカナはOKです。現在の今のご自身のお名前をカタカナにされたのでも問題ありません。ただし、アルファベットは使用できません。
また、中国や台湾などの漢字文化の方はわざわざお名前を変更する必要はありませんが、「常用漢字表」に該当しなければ変更する必要があります。(常用漢字表についてはこちらを参照ください)
現在のお名前を「氏」「名」ともに【漢字表記の日本風】に必ずしも変更する必要はなく、漢字圏ご出身の方で、常用漢字のお名前であればそのまま変更する必要はありません。逆に通称名を使用されている方は通称名を登録されてもよいですし、まったく違う名前にしても問題ありません。
日本人の家族がいる場合
そもそも、帰化は戸籍を作ることになります。夫婦やその子は基本的には同じ戸籍に入ることになります。同じ戸籍の場合、「氏」は同じになります。
戸籍を管理する単位が「氏」になります。結婚すると戸籍(新しい家族の単位のようなもの)を新しく作ります。つまり、同じ戸籍内では同じ「氏」になります。
配偶者が日本人の場合
日本では「夫婦同姓」が基本となり、夫婦で名字が異なる「夫婦別姓」は認められていません。
そのため、夫婦がともに帰化した場合や夫婦の一方が日本国籍であって他の一方が帰化した場合には、夫婦の協議によって夫又は妻のいずれかの氏を称するかを定めなければなりません。
親が日本人の場合
基本的には、(未婚の)子は日本人の親の戸籍に入籍することになり、親の氏を名乗ることになります。(帰化の届け出の際に、子が親と異なる氏又は本籍を定めた場合を除く)
例えば全員外国籍の家族が一緒に帰化申請を行い認められた場合は、基本的には同じ戸籍が編製されます。そして全員同じ「氏」となります。「名」は自由に決めることができますが、同じ戸籍内の家族が同じ名前というのは認められません。
本籍地について
本籍地は、存在する住所(番地)であれば、特に制限はなく自由に決めることができます。本籍は「(町名)○番」までの登録になります。「○番地×」の表記の場合はそのままです。
自由に決められるので、自宅を設定する方や、実家、思い出の土地などが登録できます。(最も登録されている場所で多いところとしては「皇居」のようです)自宅を設定した場合、引っ越した場合に本籍地も自動で変更になることはありませんのでご注意ください。
※特にこだわりがなければ取得しやすい場所(市区町村)を設定されることをお勧めします。
まとめ
以上、戸籍についてと登録に必要な帰化後の名前と本籍地について解説しました。
戸籍には日本人の身分事項が登録されている書類になりますので、帰化をしたら戸籍が編製されます。戸籍は本籍地を置く役所で管理されますので、帰化申請時にあらかじめ設定をしますが存在する住所であればどこでも大丈夫です。また、お名前も申請時に申告をしますが、「氏」+「名」になるように、漢字・ひらがな・カタカナの文字で作ります。