【2022年4月厳格化!】日本国籍取得・帰化をするための条件とは?7つのポイントを解説!

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帰化許可申請は法務局で行う日本国籍になるための申請です。日本に一定年数居住している外国籍の方が申請をすることができますが、帰化を許可されるためには、7つのポイント(要件)を満たしている必要があります。このポイントは、2,3年に1度見直しがされていいますが、2022年4月より今まで以上に厳しくなりました。本編では、厳しくなったポイントも含めて帰化申請で許可をもらうための7つのポイントについて解説をします。

帰化申請ができる人の要件とは

帰化許可申請は、日本人の家族がいるかや日本の定着度(地縁)等のによって大きく種類が3つに大別されます。

帰化の種類
  • 普通帰化 (国籍法5条で規定)
  • 簡易帰化 (国籍法6〜8条で規定)
  • 大帰化 (国籍法9条で規定)

最もベーシックなものとして「普通帰化」があります。普通帰化は基本的には7つのポイントを満たしている必要があります。「簡易帰化」「大帰化」は、日本への定着度や貢献度によって一部のポイントが緩和されることになります。

まずは、「普通帰化」や「簡易帰化」にご自身が該当するかを確認します。そして、その大枠に該当していることが確認できた後、細かいポイントがさらに該当しているかを確認します。

普通帰化の大枠について

普通帰化については、国籍法第5条で定められています。

帰化の種類
18歳以上で5年以上日本に在留している人

まずは、上記を満たしている必要があります。その後、細かい7つのポイントをきちんと満たしているかをチェックしていきます。

簡易帰化の大枠について

一方、簡易帰化は、国籍法第6条〜8条に定められています。日本で生まれた人や配偶者が日本人の人が当てはまることが多いです。普通帰化の要件を満たさなかった人は確認してください。

簡易帰化の大枠
  1. 日本人のであった人の子(養子をの除く)で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有する人
  2. 日本で生まれた人で、3年以上日本に住所または居所を有し、父母(養父母を除く)が日本生まれの人
  3. 引き続き、10年以上日本に居所を有する人
  4. 日本人の配偶者(夫または妻)である外国人で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有し、現在も日本に住所を有している人
  5. 日本人の配偶者(夫または妻)である外国人で、婚姻の日から3年を経過し、引き続き1年以上日本に住所を有している人
  6. 日本人の子(養子を除く)で日本に住所を有する人
  7. 日本人の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、縁組の時に本国で未成年出会った人
  8. 元日本人(日本に帰化した後、日本国籍を失った人を除く)で日本に住所を有する人
  9. 日本生まれで出生のときから無国籍で引き続き3年以上日本に住所を有する人

「簡易帰化」という名前ですが、「普通帰化」と比較して要件が一部緩和されることを意味しており、審査が簡単になるわけでも提出する書類が減るわけではありません。

大帰化について

日本に対して特別に功労の実績のある外国人は、要件を満たしていなくても法務大臣が国会の承認を得てその帰化を許可されます。ただし、過去に例はありません。

普通帰化の7つのポイント

帰化申請は法務局で申請をし、法務大臣が最終的に「許可/不許可」を判断をします。帰化申請をして許可を得るために必要な要件は「国籍法」に定められています。先に挙げた「普通許可」の場合は、国籍法の5条に記載されています。

国籍法第5条をみてみましょう。

第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
 一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。
 二 18歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。
 三 素行が善良であること。
 四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。
 五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
 六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

国籍法第5条

帰化申請では、上記の6つの要件である「居住要件」「能力要件」「素行要件」「生計要件」「喪失要件」「思想要件」を満たしていなければ許可になりません。これに加えて、条文上にはありませんが日本人になるということで一定レベルの「日本語能力」が求められます。

条文上にはシンプルに1文ずつ書かれていますが、これらを「満たしていると判断する基準」は一般公開されていませんがおおよそ決められていて、まずは法務局内でそれらの基準に則って「基準を満たしているかどうか」の確認がされます。
その中の基準には、「年齢が18歳以上」のように、出生証明書を見れば確認できるものから、「素行が善良」「安定した生活を送っている」のように、何を以って判断すればよいか一見分からないものも有ります。
2022年4月からこの判断基準が厳しくなりました。2022年10月時点で当事務所が把握している厳格化ポイントを含めながら、このチェックポイントを一つずつ確認してみましょう。

以下の7つのポイントは総合的に見て判断されます。何か一つだけが原因で不許可になる場合もあれば、そうでない場合もあり、最終的に総合的に見て判断されることになります。

※厳しくなったポイントは公開されておりません。当事務所が法務局に通う中で得た情報になり、以下の情報がすべてでなはいことをご了承下さい。

ポイント1 引き続き五年以上日本に住所を有すること

これは、日本に入国してきて「5年間在留カードを持っていた」ということだけではなく、「引き続き」日本にいなければなりません。みなし再入国期間内の一時帰省や出張であっても3ヶ月以上連続して出国している場合や、年間で150日以上海外に行っている場合には、「引き続き」を満たさないことになります。

「引き続き5年以上日本に住所を有すること」という1文には多くの注意点があります。
この1文は①「引き続き」②「5年以上」③「日本に住所を有すること」に分解して考えます。

①「引き続き」の部分の注意点について

まずここは、在留資格を保持していただけでは足りません。具体的には、以下の点を確認が必要です。

  • この5年間の間で、連続して90日以上海外に行っていない。
  • 1年間で合計で150日以上の出国をしていない。

たとえ仕事や、出産のために母国へ帰国するなど、やむを得ない事情があった場合でも、長期間の出国や、年間の半分近くを海外で生活しているような場合は、要件の「引き続き」を満たしません。パスポートのスタンプのページや、出入国在留管理庁に依頼して「出入国記録」を入手して確認をしてみましょう。


注意が必要なのが、一度長期の出国をしてしまうとその帰国後から「5年間」が再スタートします。単純に合計で5年間在留していればよい、というわけではありません。

②「5年以上」の部分の注意点について

この部分においても、5年以上在留資格を持って日本にいるだけでは足りません。5年のうち「3年以上」は就労系の在留資格を持って働いている必要があります。

注意点としては、留学ビザで「資格外活動許可」を取得してアルバイトをしている場合は、「就労系の在留資格」で在留していたとは言えません。代表的な在留資格として、「技術・人文知識・国際業務」「高度専門職」「特定活動(46号)」「技能」などが挙げられます。これらの在留資格を持ったうえで「3年以上」在留している必要があります。

③「日本に住所を有すること」について

日本において「住所を有すること」というと「住民票登録」をしていることになります。外国人の方は入国後、住む地区を管轄する市区町村役場に「転入届」をすると思います。また、引っ越しをするたびに最寄りの市区町村に届け出をします。5年間分の「住民票」を取得できる状態であれば、「日本に住所を有すること」と言えます。

「居住(住所)要件」を満たさない典型的なパターン(2例)

●パターン1:在留資格が変わるタイミングで長期で出国をしている場合

この場合は、途中で「90日以上」出国しているため「引き続き」の部分が満たさないことになります。上記の場合、2度目の入国時点から在留のカウントを始めることになり「5年間」のうちまだ「3年間」しか在留していないことになります。

●パターン2:在留資格は維持をしていても、仕事や出産などで長期で出国をしている場合

上記の場合は、一見問題なさそうに見えますが、先ほどと同じように途中で「90日以上」出国しているため、在留資格は継続して保持していたとしても「引き続き」の部分を満たさないため、要件は満たしていないと言えます。一度長期に日本を離れることになると、そこで「引き続き5年」はリセットされて、その帰国後から5年間がカウントされるので注意しましょう。

在留期間中に何をしていたか

加えて、5年間の在留のうち、3年以上は就労系の在留資格(例えば、「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職1号」)で就労している必要があります。例えば、留学生で資格外活動許可を取得した状態でアルバイトしている期間は、「働いている期間」とみなされません。

【新しく追加されたポイント①】何年の在留期間を持っているか

永住許可申請では、条文で定められているので「3年」や「5年」の在留期間を持っている人でなければ許可されません。帰化許可申請では、条文上に定められてはいないため「絶対に許可されない」という訳ではありませんが、「3年」や「5年」でない場合はかなり厳しく審査されるようになりました。2022年4月以降、法務局によっては「申請の受理どころか相談すら受け付けない」ところもあります。また、東京法務局で質問をした際にも「申請を受理はするが、かなり不利な申請になる」と言われました。

ポイント2 18歳以上で本国法によって能力を有すること

帰化申請は成人(民法で18歳以上)と決められています。これは出生証明書などから確認をされます。
また、ご自身で「帰化をする」といった重要な決断をすることができるということも大事なポイントです。

ポイント3 素行が善良であること

素行が善良であるということは、つまりは日本の法律をきちんと遵守しているかが大前提になります。

まずは、入国から現在に至るまでの暮らしを振り返ってみましょう。
当然のことにはなりますが、不法就労偽装結婚状態の方は帰化は許可されません。就労ビザで在留中の方は、ご自身の在留資格で定められている範囲内の業務をしているかを確認する必要があります。また、日本人と結婚すると簡易帰化に該当するからといって、偽装結婚も当然ですがやってはいけないことにまります。もし、帰化申請以前にご自身の在留資格の維持が気がかりな場合には、まずはそちらの状況を整えることが先決になります。

次に、年金税金きちんと払っていますか?
日本の法律では、外国人も払わないといけないと定められています。会社勤めの方は、厚生年金健康保険・所得税・住民税は、お給料から天引きされているはずです。主婦(夫)でパートナーの扶養に入っている場合は、パートナーの給料明細を確認しましょう。日本人配偶者の方は、アルバイトやパートの週28時間などの就労制限はありませんが、お給料が「扶養に入ることができる金額」をオーバーしているようですとそれは脱税になりますから注意して下さい(アルバイトやパートでもご自身で不要には要らずに年金や健康保険料を支払っている場合は問題ありません)。
経営者の方は、会社の税金が納めているかもチェックされます。

交通事故犯罪は起こしていませんか?
軽微な違反は回数が少なければ大丈夫です。犯罪は不起訴処分に終われば問題ないですが、罰金刑の場合はしばらく時間を経過しないと申請できません。

当然、母国では合法でも日本では違法の場合は日本の法律が基準になります。(例えば、麻薬やけん銃の所持)

【新しく追加されたポイント②】公的年金の支払い状況について

今までは健康保険については支払い状況を提出する機会がありませんでしたが、2022年4月以降は提出書類に支払い状況が分かるものを提出することが加わりました。会社員などで給与から天引きされている方は特に気にすることはありませんが、国民健康保険料の方は特に注意が必要です。

さらに、年収が低いことを理由に受ける国民年金の免除も注意が必要です(これは生計要件にも影響します)。今まででは支払い免除が認められている場合は特に言及されなかったようですが、今後はお一人お一人の事情を確認され、場合によっては追納を促される場合もあるようです。
※学生納付特例による免除ではなく、社会人になってからの免除には注意が必要。

【新しく追加されたポイント③】交通違反について

今までは「軽微な違反数回」のようなニュアンスでしたが、「軽微な違反は2年間で3回まで」と言われるようになりました。重大な違反は1回でも不許可になる可能性があります。どこまでが軽微となるかは、個々人の累積減点数などにもよります。少なくとも、さかのぼって2年の間に3回以上違反をしている場合は、申請を受け付けてくれないか不許可になる可能性が高くなります。帰化申請は審査期間に1年以上かかることがあるため、車をよく運転する方には「高いハードル」となる場合もあり得ます。とにかくも運転には注意が必要です。

ポイント4 お金の面で生活に心配がない

安定した生活を送れている必要があります。
年収が家族構成に見合っていないほど少なかったり、返済できないほどのキャッシュローンがあったりすると、「安定している生活を送っている」とは言えません。自己破産したばかりの方も厳しいです。逆に、貯金がたくさんあったり(なくても大丈夫です)、不動産等の資産があると少しだけ有利になるとも言われています。
経営者の方は会社の経営状態もみられます。一時的に業績が悪化していたり、新設会社の場合は事業計画書や専門家の意見を添えて、生活に問題がないことを積極的にアピールする必要があります。

【新しく追加されたポイント④】年収について

金額は明示されておりませんが、「安定した生活を送れる年収基準」が厳しくなりました。家族構成、扶養者の人数(国内だけでなく海外も含め)、その他の資産の保有状況にもよるため一概には言えませんが、今までの基準よりも一段階厳しくなったと言えます。(これは参考程度の情報にはなりますが、家族4人で世帯年収400万円は一つの目安になります。)

ポイント5 日本国籍の取得によって、母国の国籍を離脱できる

日本は二重国籍については認めておらず、日本国籍を取得すれば外国籍を離脱しなければなりません。国によっては、離脱を禁じているところもありますので事前に確認してください。

ポイント6 テロリストや反社会的勢力ではない

日本政府に対して、暴力や危険な思想を主張するような団体に結成したり加入したことのある人は帰化できません。例えば、テロリストや反社会的勢力が該当します。

ポイント7 日本語能力に問題がない

よく言われるのが、小学校3年生程度の日本語能力を有していれば問題ないと言います。申請受理後の面談では日本語能力を確認されますし、簡単な読み書きのテストもあります。
法務局によっては、平仮名・カタカナの読み書きだけでなく漢字レベルまで確認される場合もあります(噂話には注意してください。担当者によって、レベルやテストのタイミングはそれぞれです)。

日本語能力検定ですと、N4が合格できるレベルであれば問題ないです(N3程度あれば安心です)。日本語能力検定は例年6月頃と11月頃の年2回実施されています。もし、日本語が不安であれば腕試しに受けてみるといいです。

<日本語能力検定のレベル>

レベル認定の目安
N1幅広い場面で使われる日本語を理解することができる
N2日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある
程度理解することができる
N3日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる
-聞くレベル:少しゆっくりの会話であれば、内容をだいたい理解できる
読むレベル:日常的な話題について具体的に書かれた文章を、読んで理解することができる
新聞の見出しなどから、記事の概要を掴むことができる
N4基本的な日本語を理解することができる
N5基本的な日本語をある程度理解することができる

N1〜N5の認定のレベル

Screenshot of www.jlpt.jp

参考:日本語能力試験 JLPT https://www.jlpt.jp/index.html

ちなみに、小学3年生で習う漢字は「」や「」、「」、「」など200文字です。小学校1年生で80文字、2年生で160文字を習います。合計で440文字程度です。
参考:文部科学省『学年別漢字配当表』https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/koku/001.htm

日本に長く住まわれている方でも、特に非漢字圏のご出身の方の場合、日本語を話すことができてもか書けない方も多くいらっしゃいます。
さいたま法務局などの一部の法務局では、相談時に簡単なテストをされる場合があります。そのテストでは、「ひらがな」「カタカナ」の読み書きを中心に行われます。最近では、PCや携帯電話の予測変換でなんとなく文字がかけてしまう方も多いですが、場合によっては筆記テストが行われますので、しっかり準備をして臨んでください。

7つのポイントについて、動画にまとめましたのでご覧ください。
※撮影日は2020年12月で、2022年4月の厳しくなったポイントは反映しておりませんのでご注意ください。

【参考】簡易帰化に必要な要件まとめ

簡易帰化の場合は、上記の7つのポイントのうち住居条件(ポイント1)、配偶者の場合は年齢の条件(ポイント2)、子どもの場合はさらに生計条件(ポイント4)が緩和される場合があります。
個々で要件が異なりますので詳細は↓の記事を参照してください。

まとめ

以上、帰化申請の要件についてご説明いたしました。
帰化には、普通帰化、簡易帰化、大帰化と3つの種類があり、それぞれ必要な要件が異なります。大前提として、今まで真面目に法律を守りながら生活をしてきたこと、日本で安定した生活を送れていることが重要なポイントになります。その他にも、日本で生活する分には困らない程度の日本語能力があることも審査されます。また、母国の国籍を離脱しなければならない等のポイントも忘れずに事前に確認しておきましょう。

【帰化申請のこと、ご相談ください】
当事務所では、東京・埼玉を中心に関東圏の帰化許可申請のサポートを行っております。
帰化申請のことで不安がある場合や、他の事務所では判断に迷うと言われた場合などには、法務局で事前に確認をし許可の見込みを確認してから申請を行っております。是非ご相談下さい。

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