簡易帰化って何?元日本人の子や日本に10年以上住む人、日本生まれの人の帰化の要件とは?

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普通帰化の要件を満たさなかったとしても、すでに日本と当別の血縁や地縁がある方は帰化ができる可能性があります。それは簡易帰化と呼ばれ、一定の条件が緩和される帰化になります。本編では、簡易帰化の6条である日本と特別の血縁・地縁がある人の要件についてご説明致します。

<国籍法6条>日本と特別の血縁・地縁がある人ってどういう人?

まずは簡易帰化(国籍法6条)に該当する人の要件について確認してみましょう。

第六条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
 一 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有するもの
 二 日本で生まれた者で引き続き三年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
 三 引き続き十年以上日本に居所を有する者

国籍法 第六条

日本国民であった者の子供で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有する者

「日本国民であった者」には、下記のような人が該当します。日本との地縁的な結びつきを考慮されて、帰化の居住要件条件が緩和されます。

  1. 自己の志望により外国籍を取得したことにより、日本国籍を喪失した人
  2. 外国籍の選択により日本国籍を喪失した人
  3. (国籍選択を保留していた人で)催告により日本国籍を喪失した人
  4. 国籍喪失の宣告により日本国籍を喪失した人
  5. 国籍不保留により日本国籍を喪失した人
  6. 国籍離脱により日本国籍を喪失した人

日本で生まれた者で、引き続き3年以上日本に住所もしくは居所を有し、又はその父もしくは母(養父母を除く。)が日本でうまれたもの

これについては、以下の2パターンに分類できます。下記のような人の場合も、日本で生まれた人の場合、日本との地縁的な結びつきが考慮されて帰化の条件が緩和されます。
特別永住者の方は原則、この要件に当てはまります。

日本で生まれた人で、引き続き3年以上日本に住所・居所を有する人で、現在、日本に住所を有する人

日本で生まれた人で、その父又は母(養父母を除く)も日本で生まれ、現在、日本に住所を有する人

引き続き10年以上日本に居所を有する者

日本には住所がないけれども、居所を引き続き10年以上有する場合に適用されます。ただし、帰化の申請をする時点では日本に住所がある必要があります。
不法滞在状態では当然ダメです。また、住所があることを証明するのに住民票を使用します。外国人に住民票が付与されるのは中長期滞在者であることを考えると、適切な在留資格を持ってそこに居住している必要があります。
さらに、条文には記載がされていませんが10年のうち1年以上は就労可能な在留資格の状態で在留している必要があります。

簡易帰化(国籍法6条)の6つのポイント

帰化申請は法務局で申請をし、法務大臣が結果を判断をします。簡易帰化とは言え、審査基準が甘くなるわけではありません。6つのポイントを1つでも満たしていないと判断すると不許可になることもあります。条件を満たしているか否かの判断は、法務大臣の自由裁量です。つまり、自分では6つのポイントをすべて満たしていると思っていて申請をしても、認めてもらえないことがあるということです。
しっかりポイントを抑えるようにしましょう。
簡易帰化の6条では、日本と特別の血縁・地縁がある人が対象となっていることから、居住要件(5年以上引き続き日本に住所を有する)というポイントが緩和されます。

緩和される要件は↓の要件です。

ポイント1 18歳以上で本国法によって能力を有すること

帰化申請は成年に達していれば申請することができます。日本では18歳以上が成年となります。また同時に、母国の法律でも成年に達している必要があります。また、ご自身で「帰化をする」といった重要な決断をすることができるということも大事なポイントです。

ポイント2 素行が善良であること

まずは、入国から現在に至るまでの暮らしを振り返ってみましょう。日本の法律を守って生活をされていますか?
まさか「今の在留状況がよくなくて、次のビザの更新されるかわからないから、帰化しちゃおう!」なんて人はいないと思いますが、そもそも次のビザが更新が許可されないような人は、帰化も当然許可されません。
在留資格に定められた活動内容できちんと在留している必要があります。そもそも、不法就労をしている人、偽装結婚している人は在留資格も維持できるはずがなく、帰化申請も許可されません。心当たりのある人は、専門家に相談してください。

年金税金きちんと払っていますか?日本の法律では、外国人も払わないといけないと定められています。会社勤めの方は、厚生年金・所得税・住民税は、お給料から天引きされているはずです。主婦(夫)でパートナーの扶養に入っている場合は、パートナーの給料明細を確認しましょう。日本人配偶者の方は、アルバイトやパートの週28時間の就労制限はありませんが、お給料が「扶養に入ることができる金額」をオーバーしているようですとそれは脱税になりますから注意して下さい。
経営者の方は、会社の税金が納めているかもチェックされます。

交通事故犯罪は起こしていませんか?軽微な違反は回数が少なければ大丈夫です。犯罪は不起訴処分に終われば問題ないですが、罰金刑の場合はしばらく時間を経過しないと申請できません。
あまりないとは思いますが、母国では合法でも日本では違法の法律もあるので注意してくださいね。(例えば、麻薬や拳銃の所持です)

ポイント3 お金の面で生活に心配がない

安定した生活を送れている必要があります。年収が家族構成に見合っていないほど少なかったり、返済できないほどのキャッシュローンがあったりすると、「安定している生活を送っている」とは言えません。自己破産したばかりも厳しいです。逆に、貯金がたくさんあったり(なくても大丈夫です)、不動産等の資産があると審査官へアピールするポイントになります。
経営者の方は会社の経営状態もみられます。一時的に業績が悪化していたり、新設会社の場合は事業計画書や専門家の意見を添えて、生活に問題がないことを積極的にアピールする必要があります。

ポイント4 日本国籍の取得によって、母国の国籍を離脱できる

日本は二重国籍については認めておらず、日本国籍を取得すれば外国籍を離脱しなければなりません。国によっては、離脱を禁じているところもありますので事前に確認しておきましょう。

ポイント5 テロリストや反社会的勢力ではない

日本政府に対して、暴力や危険な思想を主張するような団体に結成したり加入したことのある人は帰化できません。例えば、テロリストや反社会的勢力が該当します。

ポイント6 日本語能力に問題がない

よく言われるのが、小学校3年生程度の日本語能力を有していれば問題ないと言います。
日本語能力は、申請受理後の面談で確認されます。スムーズにお話しできる方は問題ありませんが、必要なレベルに達していないことを疑われた場合、簡単な読み書きのテストを実施することもあります。

簡易帰化(6条)の注意点

簡易帰化は、申請者の環境によって一定のポイントが緩和されているに過ぎません。逆に、自分が「簡易帰化に当てはまる」という証明からしなければなりません。
例えば「両親が以前日本人出会った場合」や「10年以上日本に居所があったこと」について、まずそのことを審査官にアピールしなければなりません。ご自身では当たり前すぎて疑問に思わないかもしれませんが、この前提条件から証明してく必要があります。
「簡易帰化」という名前ですが、審査が緩かったり必要な書類が減ったりするわけではないので注意です。

まとめ

以上、簡易帰化の6条についてご説明いたしました。6条は日本と特別の血縁や地縁がある人が該当します。例えば、「以前は日本人であった人の子どもで日本に3年以上住んでいる人」、「両親が日本でうまれ本人も日本で生まれた人」、「また10年以上居所が日本にあった人」が該当します。これらの人は普通帰化にあった居住の要件が緩和されます。しかし、他の要件についてはしっかりと満たしている必要があるので注意してください。

【行政書士からのアドバイス】
簡易帰化と言っても、一部の要件が緩和されるだけで書類が簡素になったり許可がされやすくなるわけではありません。当事務所では書類の収集や申請書類の作成をサポートできますので、お気軽にご相談下さい。

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